北海道から東京に上京してもう15年。故郷には何の未練もないし、こちらはこちらで不自由ない生活はしている。
ただ、両親も老いてきたし、そろそろ地元に帰って親孝行でもしようかな、と殊勝に考え始めたことは確かだ。都心で一戸建ては僕の稼ぎでは無理だが、北海道に帰れば両親が建てた立派な一軒家がある。遺産目当てと言うわけではないが、親の財産をきちんと相続するのも子供の務めではある。
そんな感じで、まだ本腰は入れていないものの、それとなく道内で転職先はないか探していたりはしている。
けれども、そうなると心残りは東京で嫁を見つけられなかったことだ。チャンスがない事もなかったが、5年ほど前から出会い系アプリでの素人と割り切りにハマってしまって、普通に女性とお付き合いすることが億劫になってしまっていた。素人と割り切りならば、余計なことも考えずにエロい行為のみに没頭できる。そんな目先の魅力沼に陥ってしまったわけだ。
正直なところ、セックスはセックスで好きではあるが、事が終わって何事もなかったように別れる刹那な関係に虚しさも感じているし、家に帰ったら奥さんが「おかえりなさい」とお味噌汁でも温めてくれているような古風な家庭にも憧れはある。素人娘との割り切りセックスよりも、玄人妻の手製お味噌汁だ。
割り切り
そんなことを考え始めると言うことは、そろそろ都会生活も潮時なのだろう。都会生活とともに素人との乾いた割り切りセックスに別れを告げる時期が来たのかもしれない。
そして、地元で嫁探しをしてもいい。高校や大学時代のガールフレンドが今何をしているかは知らないが、一人くらいは売れ残りがいるかもしれない。都会で割り切りをやっていたと言うと聞こえは悪いが、仕事に没頭していて婚活も出来なかったと言えば、この年で独身なことも納得してもらえるはずだ。案外と都会であか抜けてきた僕は地元でもてはやされるかもしれない。
よし、やっぱり北海道に帰ろう。慣れ親しんだ出会い系アプリももう必要はない。いろんな素人娘との思い出はあるが、それも一緒にスマホからアンインストールしよう。さようなら、東京生活。
・・・でも、アプリを削除する前に、念のために「北海道で出会える素人割り切り娘」を検索しておこうかな・・・?
割り切り
援デリ